京阪本線・鴨東線ダイヤ改正の昼間時の総平均時間比較による検討


京阪では最近比較的大規模なダイヤ改正が続いている。2003年9月6日、2006年4月16日と全面的にパターンダイヤの見直しが目立つ。

2003年9月6日の改正は、15分サイクルダイヤが10分サイクルダイヤに変化した かなり大きな改正であった。1サイクル中に走っていた列車も当然ながらかなり変化した。改正前は15分の内訳はこのような構成であった。

これが改正によって10分サイクルになり、内訳もこのように変化した。

図示するとわかりやすいかもしれない。
走行区間の図
太線が各駅停車区間、細線が通過走行区間である。一時間で考えると、 それぞれ右の数分掛け算がいる。

この改正で便利になっただろう駅を直感的に挙げると、まず特急がとまるようになった 枚方市と樟葉である。しかし、所要時間は特急によって短くなったものの、実際に乗る列車を考えると、改正前は急行と準急がいずれも京橋先着の優等列車であったが、改正後は準急は特急と比べると使い物にならないので、実質優等列車は8→6と減便とも見れる。枚方市−樟葉間の2駅も、普通から急行に乗り換えて京橋に出る、準急で京橋に出る、と合わせて8本あった列車が、準急から特急に乗り換えて京橋に出ると6本に減っている。特急によってどれだけ速くなったかが鍵である。

単純に増便で便利になったように見えるのが、枚方公園〜萱島の各駅である。この区間ではもともと急行と準急にあまり差がなく、普通と急行も香里園で連絡をとっているので、どの駅も京橋に出るには8本と考えてよかった(萱島は4本)。それが一気に12本に増えている。

特急の止まる各駅間の移動も増便で便利になっている。そして、接続の改善による丸太町と中書島以遠の移動もかなり便利になった。

逆に樟葉から京都方面は列車の本数が減ったところが多いだけでなく、急行の消滅も合わさって不便になったように見える。ただし橋本と淀は増便と接続の改善で大幅によくなっている。大和田−野江の普通のみが停車する駅もやや不便になったようである。

時刻表をざっと眺めればこの程度は読めるだろう。では具体的にどの程度差があるかを定量的に考えたい。その指標として総平均時間で測ることができる。特にその改正前後の時間差を見ると一目瞭然になる。ちなみに、それぞれの総平均時間は小数を切り捨てている。

今回は変更前後ともにパターンダイヤのため、増便・減便の効果は総平均時間では比較的単純に置き換わる。今回の改正では、4→6本/時、8→6本/時、8→12本/時、といった変化が多い。それぞれ列車間隔は15→10分、7.5分→10分、7.5分→5分と概ね考えられる(若干のずれはあるが)。すると、この分だけの計算は簡単で、定義通り15分間隔の分を計算すると、(15*15/2)/15であるが、これは15/2と言っているのと変わらない。つまり、列車間隔の半分の時間が総平均時間に含まれてくる。ということで、それぞれの変化は、-2.5分、+1.25分、-1.25分(から少々の誤差)と考えてよい。蛇足だろうが、誤差の範囲を探るため、できるだけ等間隔から遠いモデルで検証するとして、5分,10分間隔の毎時8本ダイヤが10分間隔の毎時6本ダイヤに変わったとすると、(5*5/2+10*10/2)/15=4.167 → 10/2=5で+0.833分である。とすると、誤差はあったとしてもせいぜい0.5分程度と思われる。

ひたすら冷遇されているのが野江〜土居と、八幡市、五条である。野江〜土居は減便の効果と守口市接続列車の格下げ(急行から、萱島で待避のある準急へ)による。八幡市と五条は急行がなくなり、準急も特急との接続駅が遠い(丹波橋、枚方市)ことが大幅な悪化につながっている。八幡市は唯一の救いは京橋〜淀屋橋の各駅へは増便による改善の効果が若干見られることだろうか。急行を乗り通すのと、準急で枚方市まで出て特急に乗り換えるのでは所要時間自体はほぼ変わらないらしい。

西三荘〜大和田も減便ではあるが、守口市と萱島での接続が改善されており、野江〜土居ほどにひどくはない。急行停車駅では、守口市、寝屋川市、香里園、枚方公園は増便で緩和されており、伏見稲荷では、もともと大阪方面には丹波橋で特急に乗り換えるのが速かったことがあって、主に京都方面の悪化だけにとどまっている。中書島−出町柳の各駅停車区間も減便になるが、この区間は待避の変化による影響が大きい。改正前の淀屋橋−出町柳普通は深草で急行と特急を待避をし、中書島−三条普通は待避無しというダイヤであったが、改正後の準急は丹波橋、三条で待避をするようになっている。これらの駅から大阪方面も、同じ待避の変化の影響が大きく見られる。

2006年4月16日の変更は、枚方市から大阪寄りの変更がほとんどである。同じく変更点を図示してみよう。
走行区間の図

明らかに違うのは、枚方市−萱島−守口市の間の各駅停車、優等列車の本数である。枚方市−萱島では急行の止まらない駅(光善寺、萱島)では本数が半減することになるし、萱島−守口市は区間急行のおかげで、この区間内および大阪方面への移動がかなり便利になったことが予想される。

本当は、これに各駅間の移動人員数を掛けて合計したい。(以下未稿)